【感想】神の国と悪魔の国(パートⅠ.葛藤の舞台設定2章 悪魔の国の始まり)

 聖書の言葉をあなたへ ハーベスト・タイム・ミニストリーズというサイトで無料で聞くことができるキリスト教のメッセージの要約や感想を書いています。
 今回のメッセージはここで聞けます(2021年10月13日)→

©️ハーベスト・タイム・ミニストリーズ
message-station.net

 このメッセージのアウトラインはこちら

これまでの話

 このシリーズでは、「神の国と悪魔の国との葛藤」というテーマを軸にして、聖書を解釈していく。

 前回は、「神の国」の始まりをカバーした。今回は、「悪魔の国」の始まりを見ていく。

今回のメッセージを要約すると

  • サタンは、元々最高位の天使だったが、自ら「神のようになりたい」と思い、神に反逆するようになった。
  • サタンは、天使の3分の1と、アダムとエバ(及び彼らから生まれる子孫たち)を堕落させ、「悪魔の国の臣民」に作り替えた。
  • 人間は、「神に敵対する状態」で生まれてくるようになったが、「新生体験」を経れば「神の国の臣民」に戻ることができる。

感想・気づき

 サタンは元々は「守護者ケルブ」と呼ばれ、「全きものの典型(エゼ28:12)」であり、「知恵に満ち、美の極みであった(エゼ28:12)」。彼は、天の聖所において、祭司の役割を与えられていたと考えられている。

 しかし、サタンは自らの力と美を過信し、自らも神のようになりたいと思い、神に反逆した。そして、自らの支配する王国を造ろうとした。それゆえ、「守護者ケルブ」がサタン(敵対者)と呼ばれるようになった。サタンは、神のように無から有を創造することはできないので、神が創造した「神の国の臣民」を誘惑し、「悪魔の国の臣民」に作り替えようとした。

 そして、サタンは天使の内の3分の1を堕落させて、仲間に引き入れた。堕天使たちは「悪霊」と呼ばれるようになった。また、人間については、エバを誘惑し、アダムとその生まれてくる子供たち共々堕落させた。

 サタンは神のようになろうとして堕落したが、人間も「それを食べるそのとき、目が開かれて、あなた方が神のようになって(創3:5)」と誘惑された。ここで人間も、「神のようになりたい」と誘惑された訳だ。

 

 人間は堕落の結果、霊的に死んだ。霊的死は、神との関係の断絶と神への反抗を意味する。それまで内側にあった「神を慕い求める性質」が変質し、人間は神に敵対するようになった。パウロは「肉の思いは神に敵対するからです(ローマ8:7)」と書いてある通りです。

 知恵の実を食べてすぐに、肉体的死を迎えたわけではなかったが、堕落した時から、死に至る劣化のプロセスが始まった。また、罪が世界に入り込んだせいで、病気や寿命だけでなく、事故、災害、暴力などによっても人は死ぬようになった。

 

 これらの結果、サタンは「この世の神(Ⅱコリ4:4)」となり、人間は、「神の国の臣民」から「悪魔の国の臣民」人間は神の管理人として地上を管理するのではなく、自然界を搾取するようになってしまった。人間は、新しい生まれ変わり(=霊的新生体)を経験しないかぎり、悪魔の支配に従って生きることしかできなくなった。サタンが、イエスを「国々の権力と栄光をすべてあなたにあげよう。それは私に任されていて、だれでも私が望む人にあげるのだから(ルカ4:6)」とそそのかしたのも、嘘ではない。実際にサタンには、この地上の支配権があるからだ。

 また、サタンは「竜、すなわち、悪魔でありサタンである古い蛇(黙示録20:2)」と呼ばれている。「悪魔」はギリシア語で「ディアボロス」、「誤った証拠をもって責めてくる者」という意味。「サタン」はギリシア語で「サタナス」、これも「糾弾する者」という意味である。サタンは、この世にいる信者などについて、神の前で「誤った証拠をもって責め、糾弾する」。人間の、自分を肯定できない自己嫌悪に陥る理由がここにある。

 

 聖書に善悪二元論的な世界観が描かれているということだが、これを、「現実世界をメタファーとアナロジーによって、正確に描写している」と解釈するのか、「神と悪魔が実在し、事実聖書に記された出来事が、歴史的に起きた」と解釈するのかは、その人の信仰にありようによる。この点については、証明のしようがない。証明のしようがないからこそ、信仰が問われるのだと思う。