【感想】創世記(21)—アブラハム契約—

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 今回のメッセージはここで聞けます(2008年11月10日)→

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 今回は創世記11:27~12:3までです。

ここまでの文脈

 創世記は11の区分(トルドット)から構成されている。今回の箇所から、第6の区分「テラの歴史」が始まる。「テラの歴史」とは、「テラの息子たちがその後どうなったか」という意味である。この区分は創世記11:27~25:11までと非常に長いが、これはこの区分で登場するアブラム(アブラハム)の重要性のゆえである。

今回の聖書箇所を要約すると

  • アブラムは神の声に導かれ、その一家と共に、ウルからハランへと移住する。
  • アブラムの父・テラの死後、神はアブラムに直接語りかける。
  • 神はアブラムに対して、2つの命令と、それぞれに対する3つの祝福とを語った。

感想・気づき

 異邦人の祝福と救いとが、この時点で既に神から約束されていることに、とても感動した。神はアブラムに対して、「地上のすべての民族は、あなたによって祝福される(創12:3)」と語った。

 ペテロは「あなたがたは預言者たちの子孫です。また、神がアブラハムに、『あなたの子孫によって、地の諸民族はみんな祝福を受ける。』と言って、あなた方の先祖と結ばれたあの契約の子孫です。(使徒3:25)」とペンテコステのメッセージで今回の箇所を引用し、パウロは「聖書は、神が異邦人をその信仰によって義と認めてくださることを、前から知っていたので、アブラハムに対し、『あなたによってすべての国民が祝福される』と前もって福音を告げたのです(ガラテヤ3:8)」とアブラハム契約と恵みの時代の福音を結び付けて語っている。

 つまり、ここで「地上のすべての民族は祝福される」といっているのは、将来的にメシアの登場によって、異邦人にも救いがもたらされることを内包しているということだ。新約聖書までの全ての啓示が与えられている現在から、創世記のこの箇所を読むと、ここから、キリストの十字架や黙示録の世界まで見渡すことができる気がする。

 

 神がアブラムに「2つの命令」を与えたが、一つ目は「わたしが示す地に行きなさい」という命令で、これは「今の生活環境から分離しなさい」という含意がある。ウルやハランは当時は月信崇拝が盛んで、アブラムの父のテラも異教の神々を信じていた。だから、「生まれ故郷」と「父の家」を出ろと神は命令した。「聖別」するとは他から分離するという意味なので、ここでもアブラムは神に聖別されたのだろう。

 2つ目の命令は新共同訳聖書では「祝福の源となるように(創12:2)」という部分である。新改訳では「あなたの名は祝福となる」、口語訳では「あなたは祝福の基となるであろう」と訳されており、命令形のニュアンスが出ているのは新共同訳のみである。

 「祝福の源」となるので、アブラムを祝福する者は神から祝福され、呪う者は呪われる。これはのちにはアブラムだけでなくイスラエル民族全体に適用されるようになる。聖書の歴史哲学の主要な要素だ。