ヤコブが夢で見た階段はイエス・キリストの型【感想・備忘録】創世記(41)—ヤコブの霊的体験—

 聖書の言葉をあなたへ ハーベスト・タイム・ミニストリーズというサイトで無料で聞くことができる、聖書の講解メッセージの要約や感想、備忘録を書いています。
 今回のメッセージはここで聞けます(2009年4月20日)→

©️ハーベスト・タイム・ミニストリーズ
message-station.net

 このメッセージのアウトラインはこちら

ここまでの文脈

 アブラハム契約は聖書全体を理解するための鍵である。この契約はアブラハム、イサク、ヤコブへと継承されていく。前回の箇所ではリベカとヤコブの共謀によりイサクとしては不本意な形でヤコブを祝福したが、今回の箇所でイサクからヤコブへとこの契約と祝福が継承されることが鮮明になる。

今回の聖書箇所を要約すると

感想・備忘録

 ヤコブエサウの殺意を恐れて、母・リベカの言われるままにリベカの故郷ハランへと旅立つ。この時、ヤコブの年齢はなんと70歳だった。ヤコブの心境を考えると、母の言ったこととはいえ、実の兄であるエサウをだましたことへの後悔や、この年齢になってこんなことになるなんてという失望の念にかられていたことだろう。そして、なによりこれからの将来への不安も大きかったことだろう。

 そんな中でヤコブは野宿をしていると、夢で「先端が天まで達する階段が地に向かって伸びて(創28:12)」いるのを見る。そして、その階段の一番上に神の顕現であるシャカイナグローリーを見た。ヤコブは知らなかったが、この場所は創世記12:8でアブラハムが祭壇を築き、初めて神に礼拝を捧げた場所だったのだ。

 ヤコブが約束の地を離れようとし、不安で一杯になっていたまさにその時、神は初めてヤコブに現れ、彼を祝福し、アブラハム契約の内容を再確認した。創世記27:27〜29ではヤコブはイサクをだまして祝福させ、創世記28:1では改めてイサクに呼ばれて祝福されているが、ここにきて神からの祝福があった。これにより、アブラハム契約がイサクからヤコブへと継承されたことがはっきりと鮮明になったと言える。

 

 ヤコブはこの夢の中で、階段を天使たちが上り下りしているのを見た。ヨハネ福音書1:51でイエスは弟子のナタナエルに「天が開けて、神の御使いたちが人の子の上を上り下りするのを、あなたがたは見ることになります」と言うが、これはヤコブがベテルで見た夢を念頭に言っている。イエスが天の父と地上の人間との仲介者であり、ヤコブが夢で見た階段の実体ということだ。

 神はヤコブに「地のすべての部族はあなたによって、またあなたの子孫によって祝福される(創28:14)」と言われたが、現在は異邦人の祝福はイエス・キリストを通じて与えられる。この異邦人に対するアブラハム契約の祝福の原点は、ヤコブが野宿をしたこのベテルにあると言える。

 

 リベカがヤコブをハランへと送り出した際、「兄さんの怒りが収まって、あなたが兄さんにしたことを兄さんが忘れたとき、わたしは人を送って、あなたをそこから呼び戻しましょう(創27:45)」と言うが、元々エサウを騙すようにヤコブに勧めた時は「あなたへののろいは私の身にあるように(創27:13)とヤコブに言ってた。にも関わらず、「あなたが兄さんにしたこと」と言ってリベカは自分の責任をヤコブに押し付けようとしている。

 また、リベカが「あなたたち二人を一日のうちに失うことなど(創27:45)」と言っているのは、ノア契約の条項を適用すると、もしエサウヤコブを殺せば、エサウもまた死刑となることを指している。