シモン(=ペテロ)は妻子持ちの漁師【感想・備忘録】ルカの福音書(19)シモンの姑の癒し4:38~44

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ここまでの文脈

 荒野で悪魔からの誘惑に打ち勝ったイエスは、聖霊の力に導かれてガリラヤ伝道を開始した。

 イエスは故郷のナザレを訪問し伝道したが、ナザレの人々はイエスを信じなかった。ナザレで起こったことはイスラエル全土でも起きることになる。その後、イエスはナザレからカペナウムへ下り、そこを宣教の拠点とした。

 イエスの権威は、宣教活動の中で行われた悪霊の追い出しと病の癒しによって証明される。前回は悪霊の追い出しを扱った。今回は病の癒やしを扱うことになる。

今回の聖書箇所を要約すると

  • 会堂での礼拝の後、イエスはシモンの家で彼の姑の病を癒やす。
  • 日没後(=安息日が明けた後)に、種々の病で苦しんでいる人々がイエスの下に連れてこられたので、イエスは一人一人癒やしていった。
  • 群衆はイエスをカペナウムに引き留めようとするが、イエスは断ってユダヤ全土の諸会堂で宣教を続ける。

感想・備忘録

 イエスは会堂での礼拝の後に、シモン(=ペテロ)の家へ入った。礼拝を終えると帰宅して食事を取るのが当時の習慣であったので、イエスもまたシモンの家で食事を取ろうとしたのであろう。カペナウムの会堂からシモンの家までは徒歩1〜2分で極めて近く、これは発掘された遺跡から明らかになっている。

 シモンの姑は「ひどい熱で苦しんでいた(ルカ4:38)」と医者であるルカは記しているが、これは医学用語であり恐らく慢性的熱病であると考えられ、風土病のようなものだろう。

 また、イエスはシモンの姑の「枕元に立って(ルカ4:39)」病を癒やした。英語の訳では "And he stood over her (ASV) " や "So he bent over her (NIV) " となっており、枕元というよりは上から覗き込むようにしていたことがわかる。これはルカが、イエスは医師が患者を診断する時の姿勢を取っていたことを示している。

 

 イエス下に連れてこられた多数の病人を癒やした際、原因が悪霊の場合は悪霊の追い出しも同時に行ったようだ。その際、悪霊たちが「あなたこそ神の子です(ルカ4:41)」と叫びながら出ていったが、イエスは悪霊たちを「叱って、ものを言うのをお許しにならなかった(ルカ4:41)」。イエスは悪霊の証言を認めない。これはイエスと悪霊とに関連があるかのような印象を人々に与えたくないと考えたからだ。悪魔は嘘つきであり、その配下の悪霊たちも同じ性質を持っている。だから、彼らの証言はイエスにとっては必要がないし、かえって迷惑だったのだ。

 イエスは、約束の地のユダヤ人たちから神の子と認められるために地上に来られて宣教をしていたのだ。

 また、ここで悪霊たちはイエスがメシアであることを知っていた。それは当時のユダヤ人以上によく知っていた。しかし、知っていることと信じてその権威に服従することとは必ずしも一致しない。知識はあっても信じないというのは、悪霊だけの話ではないということだ。

 

 今回の聖書箇所で、ペテロは結婚していたことがわかる。だから「姑」がいた。だから、ペテロは独身だったという教えは、聖書的ではない。恐らく妻の父が亡くなったので、妻の母をシモンは自分の家に引き取っていたのだろう。彼は家があり、職業があり、家族がいた。そしてカペナウムのユダヤ人共同体に根を張った漁師だった。