マタイ10章の宣教命令は時限律法【感想・備忘録】30日でわかる聖書 マタイの福音書(10)12使徒の派遣
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今回のメッセージはここで聞けます(2007年12月10日)→
©️ハーベスト・タイム・ミニストリーズ
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メッセージのアウトラインはこちら。
今回はマタイの福音書9:35~11:1までです。
ここまでの文脈
バプテスマのヨハネの洗礼以降、イエスの公生涯が始まっている。
人々のイエスに対する態度は3種類だった。ユダヤ人指導者たちはイエスを拒否し、イエスラエルの残れる者(レムナント、真の信仰者)はイエスを受け入れ、その他の多くの民衆は判断を迷っている。
そんな中で、イエスは12弟子を使徒に任命し、「イスラエルの家の失われた羊たち」のところへと派遣する。
今回の聖書箇所を要約すると
- イエスは12弟子に悪霊払いの権威を授け、使徒としてユダヤ人の中へ派遣する。
- この時の福音は「御国の福音」であり、宣教命令の内容は時限律法的な命令である。
- また、イエスは宣教にあたっての警告、弟子としての心構え、励ましの言葉を与える。
感想・気づき
マタイの福音書第10章の大宣教命令は、時限律法であり、そのまま現在でも有効な命令と解釈することはできない。まず、異邦人の町、サマリア人の町に入るな、ユダヤ人だけに伝道しろと言っている。また、一切の金銭的準備をしてはいけないし、着替えの下着も持っていってはいけない。これらの命令をそのまま現在でも守るべき命令として解釈するならば、まずユダヤ人以外の人に伝道できないし、ほとんどの宣教師は各教団のバックアップを受けているので、これらも聖書に反しているということになってしまう。
そもそも、この時に伝えられた福音は「御国が近づいた」とういバプテスマのヨハネと同じ内容の福音だ。「十字架の福音」はイエスが実際に十字架で死んで復活して以降にしか伝えられていない。また、伝道しても耳を傾けなければさっさと次へ行けというのも現在では当てはまらないだろう。
イエスは弟子たちに、「蛇のように賢く、鳩のように素直」であるよう警告している。これは現在に適用できるクリスチャン生活のヒントだと思う。しかし、これは実行するのは簡単ではないように思う。やはりイエスが数多いる信者たちから選りすぐった12弟子であるからできることのような気がする。
「蛇のように賢く、鳩のように素直」というのは、岡田斗司夫氏が主張している「いい人戦略」にも近いように思った。岡田氏はあくまで「いい人のように振る舞う」ことを推奨しており、「鳩のように素直」というのは「実際にいい人であるように」ということだと思うので、そこが根本的に違うが、「蛇のように賢く」という部分は共通しているだろう。
しかし、クリスチャンだからといって全員が心が素直で真っ直ぐなわけもないだろうから、まずは「いい人戦略」を採用しつつ、日々の祈りなどを通じて聖化の道を歩み、長い時間をかけて「実際にいい人」に近づいていく、というのが良いように思う。こう考えれば、「いい人のように振る舞っている」だけの期間も罪悪感をあまり感じずに入れるだろうし、聖化によって徐々に自分自身の心が変えられていくという確信があれば、自分は上辺だけを取り繕っているという自己嫌悪にも陥らなくて済むだろう。
あまり頑張りすぎずに気長に聖化の経過を喜び楽しめるようなクリスチャン・ライフを過ごしたいものだ。