国際都市カペナウム【感想・備忘録】ルカの福音書(18)悪霊につかれた人の癒し4:31~37

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 今回のメッセージはここで聞けます(2022年2月13日)→

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ここまでの文脈

 荒野で悪魔の誘惑に勝利したイエスは、聖霊の力によってガリラヤ伝道を開始した。イエスは故郷のナザレでも伝道をするが、ナザレの人々はイエスを信じなかった。その後、イエスはナザレからカペナウムに下り、そこを拠点として活動を始める。

今回の聖書箇所を要約すると

  • ナザレを去ったイエスは、カペナウムでは民衆の信頼を得た。
  • エスは、預言者のように神の権威によって語り、また、悪霊を追い出して自身のメシア性を証明した。
  • エスの噂は短時間でガリラヤ全体に広がった。

感想・備忘録

 当時のユダヤ人はエルサレムから離れることを「下る」といい、近づくことを「上る」と言ったが、ナザレは標高360m地点にあり、カペナウムの標高はマイナス200mなので、ナザレからカペナウムまでは前者の意味でも下っているし、物理的に高い場所から低い場所に移動するという後者の意味でも下ったと言える。

 カペナウムが「ガリラヤの町」とユダヤ人にとっては当然の情報をわざわざ書いているのは、ルカの福音書が異邦人読者を意識してかかれているからである。この町はペテロとアンデレの故郷でもあり、漁業の盛んな町だった。また、国境の町で交通の要衝の地であったため、異邦人たちの往来も多かった。多言語が話される国際都市とも言える場所で、新しい教えに対しても比較的オープンであり、様々な意味で伝道の拠点に適した街だった。

 

 カペナウムの人々はイエスの「言葉に権威があった(ルカ4:32)」からその教えに驚いた。パリサイ派の律法学者の教えは、過去のラビたちの教えを引用しその上に自分の教えを付け加えるという形式だったが、イエスの教えは旧約聖書預言者のように、権威ある神の言葉をそのまま語ったからだ。律法学者の教えもある意味、学術的な手続きに則って過去の成果の上に論を建てていると言えるが、その基礎になっている過去の成果がそもそも誤っていたのが、パリサイ派にとっての不幸だろう。

 イエスは、自身の言葉の権威を、一連の奇跡によって可視化し、証明してみせた。今回の聖書箇所では悪霊の追い出しによって、別の箇所では病の癒やしによってである。これは同時にイエスのメシア性の証明にもなっている。