【感想】30日でわかる聖書 マタイの福音書(19)

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 今回のメッセージはここで聞けます(2008年2月18日)→
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 今回はマタイの福音書第19章です。

ここまでの文脈

 イエスの公生涯の最後の年。
 使徒行伝の時代を見据えて、イエスは弟子訓練に注力している。
 今回の舞台である、「ヨルダンの向こうにあるユダヤ地方」とはペレヤのことで、現在のヨルダン王国に位置する。ここで出会った人々の対話を通して、イエスは離婚についてと永遠のいのちについてとを弟子たちに教える。

今回のメッセージを要約すると

・神は元々夫婦が離婚する事を想定していなかったが、モーセを通じて、不貞行為があった場合のみ離婚を許可された。
パリサイ派の教えでは金持ちは神から祝福されているから富んでいるとされたが、イエスは金持ちは神よりも富を信頼しがちなので天の御国に入るのは「ラクダが針の穴を通る」より難しいと教えた。
・十二弟子はメシア的王国でイスラエルの十二部族を統治するようになる。また、全ての信者は、信仰の為に払った犠牲以上のものを必ず与えられる。

感想・気づき

 イエスに対するパリサイ人の離婚に関する質問が非常に狡猾。「ヨルダンの川の向こう側のユダヤ地方」とは、ヘロデ・アンティパスの支配するペレヤのこと。ヘロデは、不法な離婚と結婚をしたとヨハネに責められて、結果的にはヨハネを殺した。イエスから離婚に関する答えをうまく引き出すことができれば、イエスのこともヘロデが処刑するかもしれないという算段がパリサイ人にはあったと考えられる。
 また、離婚に関してはパリサイ人の中でもヒレル派とシャンマイ派とで意見が割れていたため、イエスはどう答えても、誰かしらから避難される可能性があった。

 マタイ19:17は「質問に対して、質問で返す」というラビ的教授法であるというのは納得した。ここでこの青年が「あなたこそメシアであり、神です」と、イエスに対して信仰告白すればよかったのだ。イエスが自身の神性を否定しているのではない。イエスが自身を神だと認識していたのは他の箇所から考えると明らかだ。

 「金持ちは神の祝福の故だ」、というパリサイ派の教えは、「金持ちは偉い」と考えがちな現代人にも耳が痛い。私もついついそう考えてしまいがちなので余計だ。相手が裕福だろうが、どんな地位であろうが区別なく接したいとは思うものの、自分の中に卑屈な感情が湧いてくることが悩ましい。
 また、この青年は自身の富が信仰の妨げになっていたので、イエスは「全て売り払え」と言ったが、これはあくまで個別の問題にイエスが答えただけだ。カルト教団のように信者は全て資産を教会に寄付させるような話ではない。これもすごく重要な気づきだ。