【感想】創世記(18)—セム、ハム、ヤペテの歴史—

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 今回は創世記10:1~32までです。

ここまでの文脈

 創世記には11の区分(トルドット)があり、創世記10:1からは第4のトルドットが始まる。「ノアの息子、セム、ハム、ヤペテの歴史(創10:1)」が、このトルドットのタイトルである。「歴史」という言葉が原文では「トルドット」にあたる。

 セム、ハム、ヤペテには大洪水前には子どもはおらず、全員が洪水の後に生まれた。そして、全人類は、このノアの3人の息子から広がっていった。

今回の聖書箇所を要約すると

  • セム、ハム、ヤペテから70の部族(氏族)が出たことが記されており、人類の統一性を表している。
  • 一方で、ハムの子孫であるニムロデは、神に反逆して国を建て、部族間の対立を生んだ。
  • セムの子孫ペレグはメシアの家系にあたり、ニムロデに端を発する人類の対立はメシアにより、将来的には解決される。

感想・気づき

 ノアの3人の息子はセム、ハム、ヤペテの順に生まれたが、創世記10章の系図では、ヤペテ、ハム、セムの順に書かれている。聖書では、最も重要なものを最後に持ってくるので、この箇所もセム系図はメシアの家系で最も重要なので、生まれた順ではなく、最後に書かれている。セム、ハム、ヤペテ以降の系図も全て同じ原則で書かれているので、最後に出てくるものが重要と考えて読むと理解しやすい。

 

 私たち人類は、アダムの子孫、ノアの子孫、セム・ハム・ヤペテの子孫なので、この意味では「人類皆兄弟」と言える。一方で、民族や国家の対立は古来絶えることはない。創世記10章では、ニムロデについて紙面割いて詳しく記録されている。これはニムロデがこれらの対立の原因を作った重要人物だからだ。

 創世記11章ではバベルの塔事件により、人類の言葉が互いに通じなくなり、地の全面に散らされたと記されているが、この事件の首謀者はニムロデと考えられる。「彼の王国の初めは・・・シヌアルの地にあった(創10:10)」とあり、バベルの塔もシヌアルの地に建造されたと創世記11章に記されている。また、「その地からかれは、アシュルに進出(創10:11)」したが、これはバベルの塔事件のため、シヌアルの地から散らされたと考えられる。

 ちなみに、シヌアルとはバビロニアのことで、アシュルはアッシリヤのことだ。この時代にバビロン捕囚とアッシリア捕囚の種が蒔かれたとも解釈できる。

 

 ハムの子・カナンの子ども達は、シドン、ヘテ、エブス人、エモリ人、ギルガシ人など、旧約聖書ではお馴染みの名前だ。全てイスラエル人と対立する部族であり、それらがすべてハムから出ているということだ。また、セムの子孫でペレグの兄弟のヨクタンはアラブ人の祖先である。ペレグはメシアの家系にあたるが、創世記10章ではその名前が紹介されるだけで、系図の続きは、11章後半の第5トルドットで詳しく記録されている。

 

 創世記10章は系図のみの章で内容に乏しいように感じますが、ここから全人類が広がっていった訳で、その後の聖書の展開に関係した名前がたくさん出てくるので、解説を聞くと非常に面白いと思った。この箇所に出てくる部族が全人類の全民族の祖先だと考えると色々考えさせられる。古代史にも興味が湧いてくる。