【感想】創世記(16)—ノア契約—

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 今回のメッセージはここで聞けます(2008年9月29日)→

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 今回は創世記9:1~17までです。

ここまでの文脈

 創世記6:9からは第3の区分(トルドット)で、「ノアの歴史」である。これまでに、神はエデン契約とアダム契約とを人間と結んでいたが、今回、神はノアと新しい契約(ノア契約)を結ぶ。

今回の聖書箇所を要約すると

  • ノアは全人類の代表として、神と契約を結ぶ。
  • 肉食が許可され、死刑制度が創設される等して、「人間による統治の時代」に入る。
  • ノア契約のしるしは「虹」であり、「虹」が観測できる限り、ノア契約は現在においても有効である。

感想・気づき

 神は人と「契約」を結ぶ。契約は神の性質の中心をなすと言える。初め、アダムは全人類の代表として神と契約を結んだ。エデン契約は破棄されたが、アダム契約は、アダムが「全人類の代表として神と締結した」ので、契約が有効である限り、現代の全ての人にも適用される。同様に、大洪水のあとの唯一の生き残りであるノア一家の代表、つまり全人類の代表として、ノアは神と契約を締結している。この契約は「代々永遠にわたって結ぶ契約(創9:12)」であるので、アダム契約と同様、現代においても有効である。

 契約は神と人との関係を規定している。だから、契約が更新されると、神と人との関係も新しくなる。神は「決して再び人のゆえに、この地をのろうことはすまい(創8:21)」と決められた。ノア契約では、「わたしはあなたがたのいのちのためには、あなたがたの血の値を要求する。(創9:5)」、「人の血を流す者は、人によって血を流される(創9:6)」と定めた。これは神が死刑制度を創設したということだが、死刑を執行する人間の政府の存在が前提となっている。神が直接手を下すのではなく、人間の統治によって社会正義を追及することが求めらるようになったということだ。

 

 また、ノア契約によって肉食が始まった。それまでは全ての動物は草食だった。エデン契約では、「種を持つすべての草と、種をもって実を結ぶすべての木をあなたがたに与えた。それがあなたがたの食物となる(創1:29)」、「地のすべての獣、空のすべての鳥、地をはうすべてのもので、いのちの息のあるもののために、食物として、すべての緑の草を与える(創1:30)」とされているからだ。これらの規定が、ノア契約では「生きて動いているものはみな、あなたがたの食物である。緑の草と同じように、すべてのものをあなたがたに与えた(創9:3)」と更新された。この時点ではモーセの律法のような食べてよい生き物と、食べてはいけいない生き物の区別はない。

 

 ノア契約においても、神が人間にああせよ、こうせよという内容の条項が含まれているが、これらは救いのための条件ではない。「ノアは、まだ見ていない事がらについて神から警告を受けたとき、・・・家族の救いのために箱舟を作り・・・信仰による義を相続する者となりました(へブル11:7)」と書かれているように、信仰と恵みによって、ノアは救われている。これはアブラハムにしても、現代のクリスチャンにしても同じである。モーセの律法についても、あくまで神への信仰を持ち救われたユダヤ人に対するルールを定めたものであり、律法を守ることで救われるのではない。聖書は「業による救い」を主張することはないことで一貫している。救いは常に信仰と恵みによる。