【感想】創世記(34)—サラの埋葬—

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 今回のメッセージはここで聞けます(2009年3月2日)→

©️ハーベスト・タイム・ミニストリーズ
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 今回は創世記22:20~23:20までです。

ここまでの文脈

 アブラハムは、イサクの奉献という、生涯のクライマックスをその信仰によって、無事に乗り越えた。アブラハムにとっては、人生の総仕上げの時期に差し掛かってきている。

今回の聖書箇所を要約すると

  • イサクの奉献の後、精神的にエアポケットに落ち込んでいたと思われるアブラハムのもとに、ハランの地に住む兄弟ナホル一家の情報が伝わってくる。
  • 妻・サラが127歳で死に、当時別居していた(理由は不明)アブラハムが弔いのために、ベエル・シェバからキルヤテ・アルバにやって来る。
  • アブラハムはその地のヘテ人(ヒッタイト人)から土地を買い、サラを葬る。

感想・気づき

 アブラハムが、イサクの奉献の後、精神的にエアポケットに落ち込んでいたという解釈が面白い。そんなこと考えたこともなかったが、深読みすると納得できる解釈だと思った。しかも、ちょうどよいタイミングでハランの地に住む兄弟ナホルのことも伝わってきて、アブラハムに里心がついて、昔住んでいた土地に帰りたくなる気持ちが湧いてきているという。

 人生の中で、なにか転機になるようなことが訪れた時、これからの人生をどうしようかと、方向性を模索する時期にアブラハムが入っているということだ。自分自身のことを考えてみても、今後どうしようかと、しみじみ考えさせられた。

 アブラハムは、サラを埋葬するための墓地を購入する。ナホルの住むハランに帰って、サラを埋葬するという選択肢もあったが、アブラハムは約束の地で土地を手に入れて埋葬し、この地に根を下ろすことを決意した。直前にナホルの家族の情報がハランから伝えられたと記されていることが、このアブラハムの決意をより強く表現する効果があり、うまい構成だと思った。

 

 この墓地を買う時のヘテ人とのやり取りが、当時の中近東のアラブ人の商習慣に則っており、非常に面白い。相手の言葉を額面通り受け取るのではなく、時間をかけて相手の真意をお互い読み合いつつ、交渉を進めていく。北アフリカを旅行した時のことを思い出した。お土産一つ買うにも、いちいち交渉に時間がかかって、初めは面白がっていたが、だんだん面倒くさくなってきた思い出がある。

 ヘテ人が最初に提示した金額は銀400シェケルで、これは当時の相場の10倍にもなる金額らしい。通常はここから交渉が始まり、時間をかけて値段が決まっていくのだが、アブラハムはこの考えられないような金額で即決している。アブラハムはこれが法外な値段だとわかった上で買ったのだ。これもアブラハムの、約束の地に根を下ろすという決意の現れなのだろう。