【感想】創世記(14)—洪水の始まり—

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 今回のメッセージはここで聞けます(2008年9月15日)→

©️ハーベスト・タイム・ミニストリーズ
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 このメッセージのアウトラインはこちら

 今回は創世記7:1~24までです。

ここまでの文脈

 創世記には11の区分(トルドット)がある。創世記6:8〜9:29までは、第3のトルドットに当たる。

 また、第3のトルドットの内、創世記6:11〜8:22は、対照対句法(antithetical parallelism)という、文学形式に則って記述されている(詳細は今回のメッセージのアウトラインの「イントロ」に記載されている)。

 前回は、神が人類を滅ぼすことを決め、ノアは神の言葉に従って箱舟を作った。

今回の聖書箇所を要約すると

  • 洪水が始まり、雨は40日間降り続き、水かさは150日間増え続けた。
  • 「上の水」と「下の水」とが張り裂けて、洪水となって溢れたので、地球は創世記1:2の状態に戻った。
  • 洪水は創造の2日目に創ったものを破壊したが、これは大艱難時代の予表になっており、預言的な出来事だった。

感想・気づき

 当時、全人類の中で、ノア一家のみが「義人」(=神の御言葉を信じて、それに応答した)だった。しかし、途方もない大きさの箱舟を120年かけて作り、「神が人類を滅ぼす」と信じていたノアは、完全に狂人だとまわりから思われていたことだろう。

 箱舟に入ってからも、7日間は雨が降らなかったので、その間はノア自身も、周りの人々もどんな心境だっただろうか。しかし、雨は降り出し、ノアとその妻、子どもたち、子どもたちの妻以外の人間は洪水の呑まれて全て息絶えた。箱舟には誰でもいつでも乗ることができた。ノアが箱舟に乗り、雨が降るまでの7日間、神が集められた動物たちが続々と箱舟に入っていく間も、まだ誰でも箱舟に乗り込むことはできたのだ。

 実際にノアが箱舟を作るのを近くで見ていて、洪水に見舞われた人たちはどのような思いで死んでいったのだろうか。マタイの福音書第22章の結婚披露宴の例え話を思い出さずにはいられない。洪水に見舞われた人たちも、「泣いて歯ぎしり」したのではないだろうか。

 ノアの箱舟は、「狭き門」だと思う。神はある時までは自由に出入りできるように、門を開けておられるが、その時がやってくると「戸を閉ざされ(創7:16)」る。Ⅱペテロ3:5〜7で、ノアの洪水で地上が水で滅ぼされたように、大艱難時代には地上は火で焼かれると言われています。その時が来るまでに、イエスの十字架の救いを得ておくべきです。十字架の教えは狭い門であり、ノアの箱舟もまた狭い門で最後はその戸は「神である主によって」閉じられてしまった。

 

 この洪水の水源についての解説が非常に面白かった。

 創世記1:2で神は大空を創り、水(テホム)を「上の水」と「下の水」に分けた。この上下の水が洪水を起こしたというのだ。当時は「上の水」が分厚い蒸気となって地球を覆っており、雨は降らず、地球上どこでも、年中温暖湿潤だったという。「強大な大いなる水の源が、ことごとく張り裂け(創7:11)」て、「下の水」が噴出し、「天の水門が開かれ(創7:11)」て、「上の水」が地上に降り注いだ。

 この洪水によって、地球は再び創世記1:2の「トーフー・ワ・ボーフー」というカオスに戻ってしまった。「上の水」と「下の水」が洪水の水源なんだ、という解説をもとにすると、カオスに戻ったということも非常にすっきりと理解できる。そして、神が「二度と洪水は起こさない」と約束してくれたありがたみもよくわかる。

 この時、「箱舟は水面を漂った(創7:18)」。「舟」とは言っても、実際には原語では「テイバー(=箱)」なので、ただ水の上に浮かぶだけのものだった訳だ。これも、ヘブライ語原語のワードスタディのおかげで箱舟に対するイメージが新たになった。