【感想】創世記(12)—洪水の背景—

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©️ハーベスト・タイム・ミニストリーズ
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 今回は創世記6:1~8までです。

ここまでの文脈

 創世記には11の区分(トルドット)がある。創世記5:1~6:8までは第2のトルドットにあたる。前回のメッセージは第2のトルドットの前半で、アダムから10代目のノアまでを見た。今回は、後半の「洪水が起こった理由」を見ていく。

今回のメッセージを要約すると

  • 堕天使と人間の女性との雑婚が進み、地上には人類の悪が増大した。
  • 神は、洪水で全てを滅ぼすと決め、120年間は認定の期間として洪水を起こすのを待った。
  • しかし、ノアだけは、神に対する信仰により、神の恵みを得ていた。

感想・気づき

 創世記6:2は非常に奇妙な文章で、一体何のことを言っているのだろうと思っていた。また、「ネフィリム」というのも一体何だろうと疑問を持っていた。

 しかし、ここで「神の子」とはヘブライ語で「バナイ・ハ・エロヒム」で、ユダヤ人たちは伝統的に、これを「天使」と解釈していた。これは「良い天使」も「悪い天使」もともに指す。ユダヤ人の歴史家であるヨセフスの『ユダヤ古代誌』においても、ユダヤ人の間では、古代から同様の解釈がなされていたと記されている。

 ここでいう「天使」は地上に落とされた「堕天使」のことだ。天においては人間も天使も結婚しないが(cf. マタイ22:30 マタイによる福音書(口語訳) - Wikisource)、地上にあってはどちらも結婚するという(「堕天使」は創世記1:1と1:2の間に起きたサタンの堕落の際に、地上に落とされたとされている)。

 また、この堕天使と人間との雑婚の目的は、サタンがメシアである「女の子孫」(cf.創世記3:15 創世記(口語訳) - Wikisource)の誕生を妨害するためだった。創世記3:6ではエバが、知恵の実を、「見て」、「美しいと思い」、「取った」が、創世記6:2も同じステップで、堕天使が人間の女性と結婚している。どちらも、踏み越えてはいけない一線を越えた、ということだ。この雑婚の結果、堕天使たちは終末時代の「白い御座の裁き」の時まで、「暗闇のあな」(タータラス)に閉じ込められることとなった(cf. Ⅱペテロ2:4~5 ペテロの第二の手紙(口語訳) - Wikisource)。

 

 この雑婚で生まれたのが「ネフィリム」と呼ばれる、超人的な能力を持った異形の生き物だった。そして、ギリシア神話というのは、実際に起きた「ネフィリム」達の出来事を基に作られた話だというのだ。これはちょっと驚くような話だが、なかなか面白いし、興味深い。創世記ではこの「ネフィリム」は、人間のかたちを破壊する否定的なものとて描かれているが、ギリシア神話ではその点が歪められて肯定的な物語として描かれている点も面白い。

 

 「ネフィリム」達が増え、地上には悪いものしかなくなったと、神が判断したので、この後、ノアの大洪水が起きるわけだが、ノアとその家族は神の恵みによって救われることになる。ここで、創世記6:8は「しかし、ノアは主の前に恵みを得た」というのは、ノアが神のことばを信じる信仰によって義を得ていたということだ。へブル11:7にも、ノアは信仰によって義認されたと記されている。神の救いの方法は、この時代から信仰義認によるのだ。

 そういう意味では、ノアの箱舟イエス・キリストの言う「狭い門」だし、ノア自身は「残れる者(レムナント)」の型ということだ。