【感想】創世記(2)—カオスから秩序へ—

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 今回のメッセージはここで聞けます(2008年6月16日)→

©️ハーベスト・タイム・ミニストリーズ
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 このメッセージのアウトラインはこちら

 今回は創世記1:2です。

今回のメッセージを要約すると

  • 創世記1:1の天地創造の後に、サタンの堕落により世界は呪われ、カオス(混沌)状態になった。
  • 呪いの結果としての「大水」または「淵」(海のこと)の上を「闇」が覆っていた。
  • しかし、三位一体の神の第二位格である「神の霊」がその水を、母鳥が卵を抱くように、覆うようになった。

感想・気づき

 創世記1:2で、呪いの結果生じた「大水」(海)が、黙示録21:1で「もはや海もない」状態になる。つまり、サタンによって呪われた世界がここで完全に回復されることが預言されているわけだ。創世記の初めと黙示録の最後とがこのようにつながっているとは、鳥肌がたつほど驚いた。

 この解釈の前提となるのは、創世記1:1~3を "Gap Theory" あるいは "Restitution Theory" だ。このセオリーでは、まず創世記1:1で神は天地を完璧な状態で創造された。そして、創世記1:1と1:2の間で、天使長であったサタンが堕落し、天地が呪われてしまった。その状態が創世記1:2で記されており、創世記1:3からは、呪われたカオス状態を、神の業によって回復されたことを記している。このように解釈する。創世記1:1と1:2の間に時間的隔たりがあるので、"Gap Theory" と呼ばれている。

 この "Gap" の根拠は、創世記の原文であるヘブライ語で書かれた「マソラ本文」の第1章第1節の最後に、「ラフィア(休止符)」と呼ばれる記号が書かれているからだ。「ラフィア」が打たれていると、そこまでの文章で独立した叙述文と解釈されるので、次の節と連続する文ではないと考えらえる。

 また、サタンの堕落については、エゼキエル書28:11~16に記されている。

 

 「神の霊が水の上を動いていた(創世記1:2)」の「動いていた」は、ヘブライ語では「メラヘフェット」という動詞で、「母鳥が卵を抱き、孵化させようとしている状態」を指している。つまり、手厚い保護の下に置かれてこれから生命が誕生することを想起させる動詞だ。

 伝統的に、ユダヤ人たちは創世記のこの箇所については、神の霊を「鳩」のイメージとして理解していた。だから、マタイの福音書イエス・キリストに「神の御霊が鳩のように下っ(マタイ3:16)」た時、周りのユダヤ人たちは、直ちにそれが神の霊だと認識することができた。当時のユダヤ人にわかるように、神が「鳩」の姿を利用したということだ。

 この新約聖書とつながりというのも、非常に面白い。いかに新約聖書旧約聖書と密接に関連しているか、また、一体のものとして理解しなければならないかがよくわかる。

 

 しかし、今回のメッセージを聞いていると、正確な聖書理解にはヘブライ語の知識は不可欠に思えてきた。新約聖書については、ギリシャ語か。何年かかるかわからないが、学び始めようかな。