【感想】30日でわかる聖書 マタイの福音書(1)メシアの誕生

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 今回のメッセージはここで聞けます(2007年9月17日)→

©️ハーベスト・タイム・ミニストリーズ
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 今回はマタイの福音書第1章です。

今回の聖書箇所を要約すると

  • マタイの福音書は、「アブラハムの子孫」「ダビデの子孫」と書き始められているが、これらはどちらもメシアの称号であり、ユダヤ人に向けて書かれている。
  • マタイの福音書第1章系図の中に、当時の慣例に反して、4人の異邦人の女性の名前が出てくることから、異邦人に読まれることも意識して書かれている。
  • 「ソロモン」-「エコニヤ」の系譜からはメシアが出てこないことは、当時のユダヤ人にとっては常識だったが、逆にヨセフが彼らの子孫であることが、マリアの処女降誕の必然性を示している。

感想・気づき

 つくづく旧約聖書の理解が大事だなと思った。メッセージの中でも、旧約聖書の理解がなければ、福音書の8割は理解できないと言われていたが、その通りなんだろうなぁ。

 「アブラハムの子孫」はメシアがユダヤ人であることを、「ダビデの子孫」はメシアが王であることを示しており、どちらもメシアの称号として当時のユダヤ人が認識していいたなんてことは、教会で毎週日曜日に礼拝をしているだけのクリスチャンの場合、知っている人は少数派ではないだろうか。

 また、エレミヤ22:30を根拠に、「ソロモン」ー「エコニヤ」のラインからはメシアは出てこないという知識も当時の(今も?)ユダヤ人には常識だったようだが、現代の日本のクリスチャンにとっては専門的と言って言い位の情報だろう。しかも、ヨセフがこの系譜に属していることが、マリアの処女降誕の必然性を示しており、だから、系図の直後に処女降誕のエピソードが続いているという。

 ルカの福音書第3章に出てくる系図についても、これはマリアの系図であるらしい。「このヨセフは、ヘリの子、順次さかのぼって、(ルカ3:23)」と始まっているが、「このヨセフ」というのはヨセフではなく、マリアを指している。当時の慣習で、系図に直接女性の名前を書くことはなく、夫の名前に定冠詞(英語で言えば "the" に相当する)をつけて表現していた。だから、「ザ・ヨセフ(the Joseph)」と書けば、それは妻のマリアのことを意味し、ルカの福音書の原文はそうなっており、順次さかのぼっていく名前も全て "the" が付いているので、これはイエスの母方の女性たちの系譜を記しているいるそうだ。これは旧約聖書の知識ではなく、当時の文化的背景を知っているかどうかという問題だが、日本語訳には全く訳出されていないので驚きだ(新改訳聖書第2版の脚注には、「ヘリの子」について「イエスの母マリヤの父。ヨセフの義父。」と書かれているが、これだけでは何のことかわからいよなぁ)。


 継続的に聖書を学習していると、系図を読むのが楽しくなってくる。だんだん聖書の登場人物が頭に入ってくると、系図を読んでいる時に誰がどういう人物か自然と頭に浮かんでくるし、下の世代とどう関係するのかも面白い。今朝読んだ第1歴代誌第1章の系図も読んでいて楽しかった。

 マタイは旧約聖書新約聖書(当時はそんな呼び方なかったが)との連続性を、マタイの福音書冒頭の系図で表現している。このことは聖書を学べば学ぶほど、深く味わえるようになるのだろう。