【感想】神の国と悪魔の国(パートⅠ.葛藤の舞台設定 1章 神の国の始まり)

 聖書の言葉をあなたへ ハーベスト・タイム・ミニストリーズというサイトで無料で聞くことができるキリスト教のメッセージの要約や感想を書いています。
 今回のメッセージはここで聞けます(2021年9月15日)→

©️ハーベスト・タイム・ミニストリーズ
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 このメッセージのアウトラインはこちら

イントロダクション

 ほぼ、アウトラインの内容とおなじですが、

 聖書の概略を読み解くにはいくつか方法がある:

 1つ目は、神と人間との間で結ばれた諸契約を基に、神の計画の歴史的進展を読み解く方法で、8つの聖書的契約があると言われている。2つ目は、神の経綸(ディスペンセーション)の移行に注目しながら、聖書を読み解く方法。諸説あるが、ディスペンセーションは7つあると言われている。3つ目は、「神の国」と「悪魔の国」の葛藤、というテーマを軸に聖書を理解する方法で、このシリーズではこの方法で聖書の概略を読み解こうとする。

 また、このシリーズの目次は以下のようになる予定とのこと:

パートⅠ.葛藤の舞台設定

パートⅡ.旧約時代

パートⅢ.中間時代

パートⅣ.新約時代

パートⅤ.公認教会の時代

パートⅥ.ルネサンス宗教改革の時代

パートⅦ.近代における背教の時代

パートⅧ.自由主義神学の時代

パートⅨ.グローバリズムの時代

パートⅩ.神の国の完成

今回のメッセージを要約すると

  • メッセンジャーである中川牧師は、大学生の頃、人生の根源的、哲学的問いに悩んでいたが、信仰を持ちクリスチャンになったことで、死の恐れから解放された。
  • キリスト教とは、世界観・歴史観であり、聖書には明確な歴史哲学が啓示されている。
  • 神は無から有を創造されたが、それは神の国の臣民を造り出すためだった。

感想・気づき

 神は、永遠の昔に、ご自身が王として統治する「神の国」を造ろうとされ、その国の臣民を造ろうとして、まず天使を造り、後に人間を造ったと解説されていたが、この神の意図は理解するのが難しいように感じた。

 前提として、神は「孤独だったので、愛の対象として人間を創造した」というのは誤りで、神は永遠の昔から三位一体の神として存在し、完全に自己充足し、自己完結していたという。なぜ「神の国」を造ろうとしたのかはメッセージでは解説されていなかった。自己充足していたならば、国を造る必要性はあったのだろうか。

 この辺りは、神学的にどういう神論を採用するか、また、聖書の記事を全て歴史的事実だと信じる信仰をもっているかが問題だろう。それらの前提の上で、観察されることを歴史的なこととして叙述しているということになるのだろうか。歴史なので因果関係よりも時系列の叙述が重要ということだろう。

 

 メッセンジャーの中川牧師の学生時代の悩みは非常に共感できる。人はどこから来て、どこへ行こうとしているのか。人はなぜ生きているのか。死んだら自意識は消滅するのか。などなど。

 特に、もし死んで自意識が消滅するとしたら、人生行き詰まって絶望しかないと感じたら、さっさと自殺を選ぶことになるだろう。残された家族が悲しむとか、そういうことも、悲しむ家族を見て申し訳ないと思う当の自己意識(主体)が消滅するわけだから、その問題は起こらない。それにどれだけ、刹那的に生き、欲望に忠実に悪を行うことを厭わない人生を歩んだとしても、死んでしまえば何の問題もなくなる。死ぬ直前は恐怖を感じるかもしれないが、死んでしまえば自意識が消滅するのであるから、何も残らないということになる。

 逆に、死ぬと何も残らないのであれば、良いことを行うことも、虚しさを感じることになるかもしれない。死んだあと、残された人は生前の善行を思い出し、その人のことをいつまでも記憶するとしても、当の本人の自意識が消滅しているのであれば、何の価値もないだろう。

 また、全てのことに因果関係があるとしても、永遠に遡っていくことはできないはずであり、どこかの時点で第一原因があるはずだ。不動の第一動者の最初の一突きがなければ、世界は存在しない。これが聖書の言う神であるかどうかを証明することはできないと思うが、何かしら超越的なものを仮定しないと説明のつかないことだと思う。

 

 人間の尊厳の根拠は、「神のかたち」に創造されている点にある、というのは感動的だと思う。全ての人にこの根拠以外は、無前提に尊厳がある。これを言い切れることは非常に大事だと思う。

 また、創世記の天地創造の6日間が終わった後、全ての被造世界を神が見て、「非常に良かった」と評価された。アダムが堕落する前の世界は、物質も全て良いものだった。だから、霊肉二元論で物質は悪、精神・霊性は善、というのは間違っている。

 しかし、アダムの堕落によって確かに被造世界(=物質世界)は呪われ、良い状態ではなくなった。聖書は一度呪われた世界が、いかにして元の状態よりも良い状態になるのかを語っているという。これは将来に対する希望になるし、このことがどのように解説されていくのか楽しみだ。