【感想】30日でわかる聖書 マタイの福音書(28)

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 今回のメッセージはここで聞けます(2008年5月12日)→

©️ハーベスト・タイム・ミニストリーズ
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 今回はマタイの福音書27:55~28:20までです。

ここまでの文脈

 キリスト教の福音の内容は:キリストは、私たちの罪のために死なれ、墓に葬られ、三日目に甦られた(cf. Ⅰコリント15:3~4)、ということである。

 前回のメッセージで、イエスが、紀元30年ニサンの月の15日(金)に、十字架上で死んだことを確認した。その後、同じ日の日没前に埋葬され、17日(日)にイエスは復活する。

今回のメッセージを要約すると

  • エスはニサンの月の15日(金)午後3時に十字架上で死に、その後午後6時までの間に十字架から下ろされ、埋葬された。
  • ニサンの月の17日(日)にイエスは復活し、その後弟子たちの前に現われて、ご自身の権威に基づいて大宣教命令を下した。
  • エスの復活は、イエスが神の子であることを証明し、義認、信者の復活、信者の奉仕の力を保証するものである。

感想・気づき

 イエスが十字架の死の直前に言われた「完了した(ヨハネ19:30」という言葉が、ギリシア語の「テテレスタイ」という言葉で、その意味が面白い。この言葉の意味は永らくよく分からなかったそうだが、ある古代の商家のパピルスが大量に発見されたことによって解明された。発見されたパピルスには請求書も多数含まれており、その中の支払い済みの請求書に全て「テテレスタイ」と記載されていた。これは請求書の金額が完済されている、という意味なのだ。

 イエスはご自身の死を通じて、私たち人類の負債を全て支払ってくださった。マタイの福音書第18章で1万タラントの負債を免除された男のたとえ話をイエスがしているが、まさにイエスの死によって人間の負っている神に対する負債が「テテレスタイ」の状態になった。過去、現在、未来において全ての罪が赦されたのだ。

 また、コロサイ2:14で「債務証書を無効にされた」という表現となっていることも、「テテレスタイ」という言葉の意味を考えればよくわかる。「神はこの証書を取りのけ、十字架に釘づけにされ(コロサイ2:14)」た。

 

 イエスの死後、アリマタヤのヨセフという人物が、ピラトから許可を得て、イエスのからだの十字架から下ろして、埋葬している。これはローマ法で考えると、「恩赦」されたことになる。通常、十字架刑で死んだ者は、はりつけにされたまま、鳥についばまれるに任せた状態で放置される。しかし、イエスは預言通り、金持ちの墓に葬られた(イザヤ53:9)。

 このアリマタヤのヨセフはニコデモと共にイエスを埋葬した。彼らは二人ともサンヘドリンの議員であり、それまではユダヤ人からの迫害を恐れて、イエスの弟子であることを隠していた。その後、実際に彼らは不遇な扱いを受け、殉教したり、貧困に苦しんだと言われている。

 イエスを信じる者は迫害される。山上の垂訓でイエスが教えた通りだ。この二人は勇気を出して一歩踏み出し、その結果迫害された。しかし、それでもなお、彼らには幸いがあったのだろう。

 

 新約聖書の4福音書でイエスの復活は記録されているが、一読すると、大筋では同じストーリーだが、細部において矛盾があるように感じられる。しかし、こういったことは逆に証言の信ぴょう性が高いと言えるそうだ。裁判において、複数の異なる証言が明確に一致する場合というのは、事前に口裏合わせをした偽証の可能性が高く、まず疑わしいらしい。一見矛盾のように見えるが、よく検証すると、ある事実を複数の視点から見たものであって、整合性をもって解釈することができる、というのが信ぴょう性の高い証言ということだ。

 また、マタイの福音書ではイエスの復活の第一目撃者は、女性たちだが、当時のユダヤ文化では、女性には証言能力がないとされていた。だから、もし福音書の内容が創作であるならば、女性を第一目撃者にすることはあり得ない。復活の信ぴょう性が下がるからだ。それにも関わらず女性の目撃者を記録しているのは、まさにその通りのことが実際に起こったと考えるのが合理的だ。

 このあたりの、「証言、目撃情報としての信ぴょう性」という観点からの分析は非常に納得がいく。また、福音書の内容が非常に立体的に感じられる。